琵琶湖畔にある老舗旅館を台湾の資本と日本の「おもてなしの心」と協力して再生する日台合作映画
監督は短編映画で定評があったジェイ・チャン(陳鈺傑)で、今回が長編映画初挑戦。
主役は中国留学を経験した田中麗奈と英語が得意のワン・ポーチェ(王柏傑)が演ずる。
2018年3月から日本で劇場公開され、次いで香港国際映画祭のオープニング作品に選ばれ、4月からは台湾で公開された。
 

 

あらすじ

 
琵琶湖畔の旅館「明月館」を美津子と娘梨花は夫が亡くなってから守ってきたが、経営不振で旧知の台湾人チャールズに売却する。チャールズは再建のためアメリカで事業に失敗した息子ジャッキーを派遣する。しかし日本へとやって来たジャッキーは、内心で高く転売するつもりだった。
ジャッキーの手法に再建の意欲が感じられなかったため、梨花はチャールズに来日を招請する。日本に来たチャールズは、再建するには長期的視点で見ろと言う。そこでジャッキーは結婚式ができる旅館へ改装することを提案する。経験のない結婚式事業に参入することになった美津子は、梨花、ジャッキー、従業員ボーハオにおもてなし講習を受けさせることにする。講師にはホテルに勤めていた木村女史に依頼する。木村の厳しい指導に梨花らは付いていけず、引越センターでのバイトに参加させられる。
 
ジャッキーは結婚する友人尚子に結婚式場を作る話をする。尚子は決まっていた式場をキャンセルしてまで協力してくれる。
チャールズは美津子と京都小旅行をする。そこで自分ががんであり、余命数ヶ月であることを告白する。
 
梨花が元カレと飲んで、夜遅く酔って帰ってきた。ジャッキーは水餃子を作って梨花にごちそうした。彼女はその優しさに泣き出してしまう。
梨花たちは勉強のために祇園の老舗旅館へ向かう。旅館の女将は娘たちが嫁に行ってしまったため、自分の代で閉めると言う。これが日本の現実だった。

 
そんな時、マリッジブルーに苦しむ尚子が梨花に結婚式を中止したいと告げてくる。梨花は、そこで再建後の旅館を転売すると知り、チャールズに詰め寄る。その途中でチャールズは倒れてしまう。彼にはもう時間は僅かしか遺されていなかった。結婚式中止の話を聞いたジャッキーは尚子に告白して振られるが、尚子に考え直す機会も与える。

突然、明月館の売却が決定する。以前ジャッキーが専務に言って話を進めさせていたのだが、今では旅館に対する美津子や梨花の想いを知り、はげしく後悔する。
しかし体調が悪化したチャールズは自ら契約の場に乗り込み、相手企業に頭を下げて、売却話をなかったことにする。

ある日、尚子の挙式が行われた。花嫁衣裳を身に着けた尚子はとても美しく幸せそうだった。その後すぐチャールズは息を引き取る。明月館は徐々に客足を伸ばしていた。
そうして、葬儀を済ませて再来日したジャッキーは再び、明月館を訪れるのだった。

雑感

 
前半は異文化の衝突を描きながら、古い日本映画調に進んだのだが、後半が少しゴタついた。
やはり長編映画未体験で日本映画に挑戦したのは、ジェイ・チャン監督(脚本を兼ねる)には荷が重かったのだろう。
カットが足りないような気がするし、上映時間も短い。
 
この作品が田中麗奈の産休直前作。この後、2019年に出産し産休中だ。
待望の日台合作映画に出られて、中国語の腕前を見せつけられて、満足だったろう。
 

スタッフ・キャスト

 
監督 ジェイ・チャン(陳鈺傑)
製作  北川淳一(松竹京都撮影所社長)、ジェイ・チャン
脚本 ジェイ・チャン 、 砂田麻美
撮影 ジェイ・チャン
音楽 大橋好規
 
配役
梨花 – 田中麗奈
ジャッキー – ワン・ポーチェ(王柏傑)
美津子 – 余貴美子
チャールズ – ヤン・リエ(楊烈)
ボーハオ – ヤオ・チュエンヤオ(姚淳耀)
尚子 – 藤井美菜
ティファニー – ルー・シュエホン(呂雪鳳)
黄 – マイケル・タオ
井口 – 青木崇高
岡田 – 眞島秀和
木村 – 木村多江
清水 – 香川京子
 

 

おもてなし (盛情款待) 2017 松竹撮影所+天大影業股份有限公司製作 松竹撮影所+ニチホランド配給

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