アクションの連載から単行本になった。
面白く読んだ。
有名作家たちが、カフェで杯を酌み交わしている姿を見せられると、そうだったかも知れぬと思わされる。
坊っちゃん」を牧歌的な青春小説と思う人は多い。
実はそうでなく、20世紀初頭の日本が近代化していく姿に対するアンチテーゼだ。
日露戦争勝利で勘違いした日本は、どんどん間違った方へ進んでいく。
そして古き良き日本を捨て去る。
そういう意味で悲しいお話なのだ、と関川はいう。
ちょうどSSWEBで「坊っちゃん」(風間杜夫朗読)全11部を聞き通したところだ。
たしかに「坊っちゃん」は田舎町である松山でさえ、受けている世の中の変化にあらがい、結局敗れて国に帰った。
士族根性が抜けず、周りに合わせることが出来ない不器用な男だった。
若い女には目もくれず、清という婆やを引き取り、世話を見て最後に見送り、菩提寺の墓にまで入れてやる。
おばちゃんコンプレックスだったのだ。
ドラマでは、柴俊夫主演のNHK版「坊っちゃん」を、よく覚えている。
西田敏行が山嵐で、河原崎長一郎が赤シャツ、三國一郎がタヌキ、下条アトムがうらなりと記憶している。
結城しのぶが、マドンナだった。
マドンナは原作ではほとんど出てこないが、ドラマではヒロインにフィーチャーされていた。
「三四郎」と混ぜていたのだろう。
着物姿が美しかった。
その前に日テレでは、竹脇無我主役の「坊っちゃん」を放送していた。
こっちはよく覚えていない。
赤シャツが米倉斉加年、のだいこが牟田悌三だったそうだ。

「坊っちゃんの時代」関川夏央 谷口ジロー 双葉社

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