舟木一夫のデビュー曲「高校三年生」(丘灯至夫作詞、遠藤実作曲;後にレコード大賞新人賞受賞曲)が大ヒットしたため、これに因んだ映画を撮ろうと言うことになった。とは言え、舟木は忙しいし、演技はいまだ素人と言うことで当時大映の青春映画で売り出し中の姿美千子倉石功のコンビに、同じく青春スターだった高田美和(高田浩吉の娘)を組み合わせて受験と就職に悩む高校三年生の青春ものを撮影することとなった。舟木一夫も助演という形で出演している。

原作は富島健夫である。富島は1970年代以降官能小説家として有名になるが、本来、純文学から出てきた作家であり、当時は小学館から発行されていた中高生向け雑誌「女学生の友」に執筆していた。その中から「かっこいい若者たち」(「明日への握手」所収)という短編を池田一朗が脚色して、井上芳夫が監督した。

なお校舎は愛知県江南市の滝学園(旧滝実業高校)を使用している。

 

Synopsis:

自転車通学必須かと思うぐらい、危険なほど横に拡がって登下校するシーンが印象的だ。

知子、小路、みつ子、けい子は進学クラスの仲良し四人組。下校時に船田が突っかかってくるのは小路に気があるからというのを、彼女らはまだ判っていない。
知子の実家は老舗織物業を営んでいて祖母が全権を握っている。姉澄子は好きな人が出来たが、祖母は気に入らず、家出して彼氏の下宿先に落ち着く。そこには就職クラスの本多が住んでいて、知子と親しくなる。

小路が原先生と一緒に歩いているところを船田に見られて学校中の噂になる。小路の父が支店長として勤める銀行支店で横領事件が発覚し、父は遠方へ飛ばされる。高校三年生の小路も仕方なく転校することになる。そこで小路は思い切って原先生に愛を告白し、卒業後に交際を申し込む。原先生も前向きに交際してくれることを約束した。

知子の祖母が澄子の彼氏の会社に談判に行ったため、彼氏は会社を辞めることになる。澄子との仲も清算され、澄子が下宿で飲んでいるところへ本多が帰ってきたため、澄子は酔って本多に口づけをしてしまう。

そして澄子は実家に帰るが、知子に本多とのことを告白したため、知子は本多を川ぶちで詰問する。本多は相手が無理矢理口づけしたのだから事故だと主張し、知子は「だったら私にキスしなさいよ、汚れた唇を綺麗にしてあげる」と言う。

小路が車で町を出て行くとき、クラスの有志が見送りに来てくれる。「高校三年生」をバックに小路は手を振り、別れを惜しむ。

 

Impression:

一応、歌謡映画なのだけれど、原作があるのでオリジナル脚本よりも安心出来る。しかも上手く脚色して、歌の見せ場を作っていた。

高田美和は高田浩吉の娘で大映の金の卵だった。後に歌舞伎の女形片岡秀太郎と結婚したが日活ロマンポルノに出演させられ、結局後に離婚。最近は片岡愛之助の育ての親と名乗っていて、藤原紀香の小姑みたいなものである。(愛之助は秀太郎の養子)

姿美千子は御三家の一人、橋幸夫の相手役募集に応募して選ばれたシンデレラガール。高田より二つ年上なので、姿美千子がこの映画の主演である。吉永小百合のライバルとして大映の青春スターに祭り上げられた。自分もハキハキしてるところが好きだったが、取り立てて華のない人だった。おかげで大映がセクシー路線に移行したとき、映画からテレビに移る。それもつかの間、巨人軍の倉田誠投手と結婚して完全引退。
二人を結びつけたのは、実妹橘和子が日活で女優をしていて巨人軍の左のエース高橋一三と結婚したことである。1973年には高橋一、倉田二人揃って41勝22敗という好成績を挙げ、チームは9連覇を果たし、姉妹揃って内助の功と言われたものだ。阪神ファンにとっては「池田の落球事件」とともに忘れがたいシーズンだった。

倉石功は若く、舟木一夫に代わらず棒演技だった。それより堺正章がガリ勉役で出演しているが、コミカルなシーンがとくに無かった。いやアドリブ出来そうな雰囲気だったが、監督に禁じられていたのか。
父親堺駿二が有名なコメディー俳優だったから、子役時代に映画出演をしていたが、成長してからは初めての映画出演だったようだ。当時はブレイク前のザ・スパイダーズのボーカルであり、ホリプロに属していた。舟木も当時はホリプロだったため、抱き合わせ出演だったのだろうか。
どちらにせよ、大映は堺正章の復帰作でコメディアンとしての才能を見落とし、ザ・スパイダーズがブレイクしたときに東宝と日活に美味しいところを奪われてしまったと言うことだ。

主人公の仲間の一人、高野通子も劇団若草時代に日活映画で主演を張ったことのある人だったが、姿美千子、高田美和の脇にまわると黒縁メガネで舟木一夫に振られる冴えない女子役になってしまった。渚まゆみ(後に歌手、浜口庫之助夫人)に至っては、ほとんど台詞がない。

知子の父と母を演じた見明凡太郞村田知栄子は実生活でも夫婦。

浜田ゆう子が相変わらずずうずうしい姉役を好演。

 

 

Staff/Cast:

監督 井上芳夫
原作 富島健夫
脚色 池田一朗
企画 竹谷豊一郎
撮影 中川芳久
音楽 西山登
美術 山口煕

 

 

 

 

出演

姿美千子 小杉知子
高田美和 島津小路
倉石功 本多宏
舟木一夫 船田一夫
高野通子 高丘みつ子
渚まゆみ 坂本けい子
堺正章 安井
高橋昌也 原先生
細川ちか子 小杉梅乃
村田知栄子 小杉律子
見明凡太朗 小杉太蔵
浜田ゆう子 小杉澄子
坪内美詠子 本多静子

 

高校三年生 1963 大映 舟木一夫のデビュー曲を映画化

投稿ナビゲーション