娘が破傷風になり、ICUに入れられるが、悪魔にような形相で痙攣と舌からの出血を繰り返す。
親が絶望感に苛まれながら、娘と共に病魔と闘った一週間を描いた医療現場の実録映画。

松竹の営業はホラー枠で上映したため、多くの人々にトラウマを残した伝説の映画。何しろ見た後に涙を伴う倦怠感が生じる。

 

 

 

Synopsis:

三好家の幼い娘昌子は泥遊びをしていて破傷風に感染する。潜伏期間が終わり、突然けいれんを起こした。父昭と母邦江は近くの病院へ行くが、当直医しかおらず、翌朝大学病院へ行くように言われる。そこで長い検査の結果、野原教授は破傷風と診断する。良く聞いた名前にほっとした両親だったが、父親に教授は子どもの破傷風の死亡率は非常に高いことを警告する。

早速血清を点滴するが、一週間集中治療室に入れて、光や音の刺激を与えないようにしなければならない。しかし小児科病棟では、外部の雑音を完全に遮断することは無理で、度々けいれんを起こしてもの凄い形相で舌を噛み血を吐き、そのたびに担当医の能勢や江田が飛んでくる。

二日目には鼻からチューブを入れて栄養を摂らせる。昭は昌子に噛まれた指が気になって、治療を受ける。内科医は心配ないと言うが娘の様子を見ていると、自分も感染したのではないかと疑ってしまう。娘のけいれんは夜になっても続き、医師は胃洗浄を行うと告げる。能勢医師は「悪くなりました、、、今のところは何も申し上げられない」と苦しそうに言う。

三日目、朝の配膳の音で昌子はけいれんを起こす。当直の医師は昌子の歯を麻酔無しで抜き、酸素チューブを口にはめ込む。能勢はこうなったら気管切開をしたいと言い、昭は承諾する。しかし野原教授は昌子の体がたえられないと判断し、気管切開を中止する。その代わり、昌子の周りに酸素テントが張られる。昭の母親がやって来るが、疲れ果てた邦江は何も反応しない。夜になってまたけいれんを起こす。邦江は切れてしまい、処置しようとした能勢医師に刃物を向けるが、昭が連れ出す。

四日目、度々けいれんが起きる。夜のけいれんではついに心電図の波形が停まってしまう。能勢は必死に心臓マッサージを繰りかえし、何とか心臓が動き始める。

五日目、邦江は自宅へ一旦戻るが、髪をバッサリ切ってしまう。その異常な様子を見た友人の山岸夫妻は邦江を連れて病院にやって来る。憔悴しきった昭を見て、山岸夫妻は代わりに昌子の様子を見てあげて、しばらく昭を休ませる。山岸夫妻が邦江を連れて帰る。

六日目、朝になって昌子がけいれんを始める。昭は邦江を電話で呼び出すが、怖くて家から出られないと言う。真夜中にようやく邦江が戻ってくる。代わりに昭が部屋に帰る。

二週間後、容態は改善し、鼻のチューブが抜ける日がやってくる。昌子は嫌いだったはずのチョコパンが食べたいと言い出す。

一か月後、一般病棟に移される。二人は久しぶりに笑顔で家に戻る。

 

 

 

Impression:

これは幼い子供を持つ親は必見だ。しかし松竹がホラー枠で売ったので、収入も良くなく長い間DVD化されなかった。
映画には娯楽以外に教育の機能を兼ね備えているのを、今の営業マンは忘れている。
従ってこの作品は幻のカルト作品扱いされてきた。これは不幸なことだ。親のくせしてこの映画から目を背ける奴に子供を育てる権利はない。

子役若命真裕子が本当に頑張った。日本アカデミーは特別賞を出すべきだった。もう、この子は引退してしまったそうだ。ただし1部は医療ロボットによる撮影である。

映画の中で両親ともに途中で精神崩壊を起こし自暴自棄になったり医師に刃物を向けたり、凄いことになっていた。自分がそうならない保証はない。
病院は完全看護を謳いながら、遅番の看護師ぼ数をケチってしまうので、目の届かない患者が多い。だからICUでない限り、有料の付き添いさんを毎晩付ける病院も多い。夜はそういう人に頼んで、患者さんの保護者は少しでも休むことを考えて欲しい。

 

一つ忘れてならないのは、医師のネットワークである。最初の当直医(矢野宣)も無能に見えるが、実は大学病院を紹介している。問題解決のために最短コースを選択してくれたのだ。
ここで適当な病院を紹介してしまうと、たらい回しになり手遅れになる。適切な病院に紹介出来ない医師こそ無能だ。

 

 

 

Staff/Cast:

監督 野村芳太郎
製作 野村芳太郎 、 織田明
原作 三木卓
脚本 井手雅人
撮影 川又昂
音楽 芥川也寸志
美術 森田郷平

 

 

出演
渡瀬恒彦 三好昭
十朱幸代 三好邦江
若命真裕子 三好昌子
中野良子 能勢医師
越村公一 江田医師
宇野重吉 小児科教授

 

 

 

震える舌 1980 松竹配給 (野村芳太郎監督) エクソシストよりはるかに怖い破傷風

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