素晴らしい日本産暴走族映画だ。前年公開されてヒットしたオーストラリア暴走族映画「マッドマックス」第1作の制作開始は「狂い咲きサンダーロード」制作開始よりも遅い。どちらも相手のことなぞ知らずに制作に入ったのだから、ほぼ同時進行していたと考えて良いのではないか。
根底に東映不良映画「暴走番長」(1968) から続く70年代の東映映画に影響を受けながら、さらにそこに23歳と言う石井聰亙監督(これは元々日本大学芸術学部の卒業制作だった)の若さとニューウェーブ・パンクロックが交わって稀代の傑作はできた。
泉谷しげるも最近のフォーク爺さんではなくPANTA(頭脳警察)同様にロックしていた。松田優作がブルースを得意にしていたのと対照的だと思う。

あらすじ:
舞台はサンダーロードと云われる街。そこで争っていた暴走族達は、改正道路交通法施行に伴い取締が厳しくなるため休戦協定を結んでともにエルボー連合を作ると云うことでまとまった。その流れに反旗を翻したのが健(南条弘二)率いるチーム魔墓呂死(まぼろし)の特攻隊長だった仁(山田辰夫)である。仁は幸男、茂、英二(中島陽典)、忠らを引き連れ魔墓呂死を引継ぎ暴走を続ける。エルボー連合は魔墓呂死に制裁を加えるため、幸男を拉致してリンチを加える。死を覚悟して仁らはエルボー連合との決闘の場に出かける。大乱闘の末、幸男は殺されるが、初代魔墓呂死リーダー剛(小林稔侍)が仲裁して仁達を預かる。剛はスーパー右翼団体を率いており、そこで彼らを更正させようとする。しかし裏では同性愛者である剛と仁は合わず、結局剛のホモ愛人になった茂を除いて仁達は組織から離れることになる。再び目障りな行動を取る仁達をエルボー連合はスーパー右翼団体と協力して襲撃し、英二は植物人間になってしまい、仁はチェーンソーで右手右足を切断され、忠は街を逃げ出した。障害者になった仁は自暴自棄になり薬に溺れるが、密売人であるジャンキー小学生や連続爆発犯マッドボンバーと出会い彼の運命は大きく変わる。武器弾薬を大量に調達した仁は再びサンダーロードでスーパー右翼の剛、茂に最後の戦いを挑む。

オーラスに仁が不自由な体でバイクに乗って走り去るところは実に素晴らしい。重傷を負っているし右手がないからブレーキを操作できない。ジャンキー小学生に「そんな体で走れるのかよ」と言われて、仁がニヤリと笑うシーンは世界映画史に残る。

唯一の問題はバズーカを手にしてからのアクションシーン前半と比べると爆薬を使った特殊効果が増えたため、かなり貧相に見えた。前半の予算を抑えて後半を石原プロのドラマ「西部警察」のせめて1/3程度には盛り上げて欲しかった。(西部警察は1979年に始まった)

監督:石井聰亙
脚本:石井聰亙、平柳益実、秋田光彦
美術:泉谷しげる

キャスト
山田辰夫
中島陽典
南条弘二
小林稔侍

 

狂い咲きサンダーロード 1980 東映セントラル

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