石井輝男監督の異常性愛路線最終作、江戸川乱歩の小説「孤島の鬼」をベースに「パノラマ島奇談」「人間椅子」「屋根裏の散歩者」をまぶしたような作品。だから江戸川乱歩全集と名付けている。設定は昭和初期か。
広介は医学生だが、何故か精神病院に監禁され坊主男に殺され掛けて、逆に殺してしまい脱走する。
なじみのある子守歌を耳にすると、サーカス団員の初代が歌っていた。彼女は広介と同じ孤児で、二人の子供の頃の風景は同じものだった。
その翌日、会いに行くと初代は広介の目の前で投げたナイフにより殺害される。
広介は犯人として追われて、逃げた。そして出生の謎を解くためもあり北陸へ向かった。広介とそっくりの菰田源三郎という男が病気で死んだという話を聞いて、菰田家を目指す。
広介は、源三郎が生き返ったことにして菰田家に入った。菰田家には妻千代子と愛人静子、執事蛭川らがいたが、何か不気味な雰囲気がする。
間もなく千代子が殺される。源三郎の父丈五郎は障害者だが存命で、妻のときとともに無人島に渡り、島を好きなように開発している。広介は丈五郎に面会するため静子、蛭川、下男の新吉とともに島へ渡る。
島は異様な世界だった。広介は土蔵で初代に瓜二つの秀子と出会う。何と秀子はという醜い男と背中で縫い合わされていた。
丈五郎の目的は自分と同じ奇形児を人為的に作り出すことだった。広介は正体を明かして、秀子と猛を分離することを条件に母に会わせてもらうことを父と約する。手術後、広介は秀子と恋におちて結ばれた。
丈五郎はみんなを洞窟へ連れて行く。そこには秀子の母ときが監禁されていた。丈五郎は妻ときが親戚林田と浮気していることに気づき無人島に監禁した。林田の子を妊娠していたときは双子源三郎と広介を産んだ。それから丈五郎はせむし男にときを抱かせて、双子の姉妹初代、秀子を生ませた。広介は秀子と近親相姦を犯したわけだ。
その時、下男に化けていた私立探偵明智小五郎が、順を追って今回の事件を解き明かす。黒幕は丈五郎でなく変態殺人鬼蛭川だった。蛭川は菰田家の財産目的で静子と結託し菰田家の血縁者を次々と殺した。
逃げる蛭川と静子は崖から落ちて死ぬ。明智が丈五郎を諭しても、島を爆発すると脅す。しかしときが自分こそ悪いと明智に詫びるのを見て、丈五郎は自ら死を選ぶ。兄妹なのに愛し合ってしまった広介と秀子は、大型打ち上げ花火とともに、「おかーさーん」と叫びながら空中で爆死する。
たしかに歴史的にはカルトだろう。封切り時にはラストの生首が飛んで行くシーンで静まり返ったというから。今見れば笑えるのだが。
だけどこの映画に予算を付けて制作した岡田茂社長の物好きに呆れてしまう。そして東映映画なんて所詮は見世物小屋の延長線上にしかないという無力感も感じた。
監督    石井輝男
原作    江戸川乱歩
脚色    石井輝男 、 掛札昌裕
企画    岡田茂 、 天尾完次
撮影    赤塚滋
音楽    八木正生
配役
人見広介・菰田源三郎    吉田輝雄
秀子・初代    由美てる子
菰田丈五郎    土方巽 (舞踏家)
妻とき    葵三津子
嫁千代子    小畑通子
静子    賀川雪絵
蛭川    小池朝雄
林田    笈田敏夫
猛    近藤正臣 (メイクで顔は見えずw)
監守    高英男
坊主A    由利徹
坊主B    大泉滉
医者    上田吉二郎
江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間 1969 東映京都

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