岡晴夫が美声により流行歌「憧れのハワイ航路」がヒットさせたのは、1948年のことである。

それから二年後の1950年、喜劇の神様斎藤寅次郎監督はこの曲をもとにして岡晴夫主演、撮影当時12歳の美空ひばり助演のモノクロ映画を撮影した。

当時美空ひばりより映画の経験が少なかった岡晴夫は、棒演技だったが、二人のデュエットが見られて満足だ。

 

あらすじ

 

岡田(岡晴夫)はハワイ生まれの日系人で中学から来日したが戦争になったので、終戦になってもハワイの親と連絡が取れない。
戦後の日本では夜間学校の教師をしていたがリストラされてしまい、今は友人の山口(古川緑波)の下宿屋兼飲み屋に同居している。
そこには気の良い主人松吉(花菱アチャコ)と女将みき(清川玉枝)がいた。

山口は花売り少女の君子(美空ひばり)を助けたことから、女将さんが君子の母親だと分かる。
女将はは婚家になじめず一人家を出て、苦労して戦中戦後を乗り切り、三年前に松吉に嫁いでいた。

しかし君子の姉千枝子は自分たちを捨てた母を許せなかった。
岡田はそんな千枝子が好きになってしまう。そこで岡田と山口で母と娘達の仲が戻ることに腐心し、君子も女将に懐いていることから、三人を何とか元の鞘に収める。

一方、パン屋の娘久美子(杉山よし子)は山口のことが好きである。久美子は、山口が毎日買いに来るパンに親切心からバターを塗り込んだ。
ところが山口はそのパンで設計図の修正をしていた。バターのおかげで設計図は読めなくなり、山口はクラブで荒れた。
岡田は山口を抑えようとするが、そのときヤクザが暴れて楽団員が逃げ出してしまう。
支配人(伴淳三郎)が困っているところを救ったのは、岡田だった。彼はアコーディオン片手に歌い始め、万雷の拍手を浴びる。

さて、千枝子は意外にも岡田の恩師の息子である人形商春元(キドシン)と相愛の仲だった。
岡田はがっかりするが、春元を通じて岡田の無事がハワイに伝わり、やがてハワイの父から便りが届く。

これでようやく岡田はハワイに帰れることになった。
彼がハワイ航路便に乗船したところでエンドマーク。

 

雑感

 

短い上映時間だが、美空ひばり岡晴夫の歌をいくつも堪能できる。一曲だけだが岡晴夫がギター伴奏して美空ひばりが歌うシーンで、何と岡晴夫がコーラスを付けてくれた。

映画では結局ハワイへ上陸するシーンは無かった。占領下の日本ではハワイに渡航することは困難だったのだ。

しかし、春にこの映画を上映して美空ひばりはこの年の夏にハワイ側から呼ばれて公演を行っているw。本当だったら、岡晴夫が招かれるものだろう。

美空ひばりは川田晴久の弟子で地方公演で大衆演劇風の演技を叩き込まれていたので、岡晴夫より演技がしっかりしていていた。

この映画を撮った斎藤寅次郎監督は同じ年にひばりの代表作の一つ「東京キッド」を監督している。

清川玉枝がひばりの幼い頃に別れたまぶたの母役で好演。たしか三人娘映画「ロマンス娘」でもひばりの母親役だった。

珍しいところでは、浅草喜劇人キドシンがお坊ちゃま役で普通に演技している。さらに伴淳三郎もクラブの支配人役(脇役)で出演。

 

スタッフ

 

監督 斎藤寅次郎
製作 伊藤基彦
原作 サトウハチロー
脚色 八住利雄
撮影 友成達雄
音楽 上原げんと

 

 

 

配役

 

岡田  岡晴夫
山口  古川緑波
みき  清川玉枝
松吉  花菱アチャコ
久美子 杉山よし子
君子  美空ひばり
千枝子 柴田早苗
春元   木戸新太郎(キドシンとクレジットされている)
春元の母 吉川満子
クラブ支配人 伴淳三郎

 

憧れのハワイ航路 1950 新東宝 – 岡晴夫と美空ひばりのデュエットが聴ける歌謡映画

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