白黒だが、映像が実に美しい嫁姑映画。
松竹出身の松山善三らしく、松竹ヌーベルバーグ的な作品でのちのATG映画を見ているようだった。
湯元の芸者いねは、中越の紬織り旧家六條家の主人久右衛門に請われて嫁ぐ。
しかし姑や親戚から苛められ、久右衛門が相場に失敗して借金を作り自殺してからは、
ひたすら堪え忍ぶ日だった。
そんな彼女の心の支えは息子の成長と使用人治郎の励ましだった。
しかし雪国の冬は陰鬱であった。
姑はいねと治郎の噂を流して、村人はおもしろおかしく広めた。
借金の期限が月末に近づき、いねは夫が命を賭けて作った紬織り工場を守るため、自ら六條家から去ることを条件に姑に田畑を抵当に出してもらう。
そんなとき治郎の恋人乃里子は噂を気に病んで自殺した。
親戚一同が集まる法事の席で、いねはとうとうぶち切れて酒をあおって歌い始める。
この作品のことは知らなかったが、凄い作品だった。
まず雪国の白黒映像が不気味なほど美しい。
破れ障子から覗いている眼球が人の噂を表現しているのも当時としては斬新だ。
演技では毛利菊枝のいじめが見事。
大女優高峰秀子相手にこれでもかとばかり、憎まれ役を堂々と演じている。
大空真弓も嫉妬深い視線の演技が良かった。
高峰秀子はこの後も夫である松山善三の作品にいくつか出ているが、実質的に主演作品はこれが最後だ。
これこそ松山善三が描く高峰秀子の最高傑作。
久しぶりに後味を引く映画に出会えた。
監督 松山善三
脚本   松山善三
撮影   岡崎宏三(傑作)
音楽   佐藤勝
美術   小島基司
出演
六條いね            高峰秀子
六條美乃          毛利菊枝
三宮治郎          フランキー堺
大崎仁兵衛       小林桂樹
大中彦太郎       石山健二郎
須山昭一          大辻伺郎
須山乃里子      大空真弓
六條久右衛門匡弘 神山繁
次は映画の製作後二年たってから製作されたイメージソング。

六條ゆきやま紬 1965 東宝

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