ロマン・ポランスキー監督がが初めてアメリカのメジャー映画と取り組んだ作品。アイラ・レヴィンの原作の映画化である。
ポランスキーが、殺された妻シャロン・テートと出会った前作の映画「吸血鬼」は英米合作だった。
悪魔崇拝者である隣人の影響で夫が現世での栄華を得るために妻を一晩悪魔に貸して妊娠させ出産するまでの物語。
非常に丁寧に作られている。心理的な怖さはあるが、描写自体は至って大人しい。

 

 

Synopsis:

豪華だが古いマンションに、売れない俳優のガイと妻ローズマリーが引越してくる。隣にはカスタベット夫妻(ローマン、ミニー)と養女が住んでいたが、養女は何故か飛び降り自殺をする。翌日にはカスタベット夫妻がガイとローズマリーを食事に誘う。ローズマリーはお節介を焼くので夫妻を嫌いだったが、ガイと彼らはすぐ意気投合する。

突然ガイに仕事運が向いてくる。ライバル俳優が失明したのだ。またカスタベットに食事に誘われるが、出されたものはまずくて食べられなかった。その夜、ローズマリーが眠っている間に恐ろしい夢を見た。そのとき、ガイと交わったらしい。

彼女は妊娠した。カスタベット夫妻は有名な産科医サパスタインを紹介してくれる。妙な薬を出されて飲むと、ローズマリーの体が日に日に痩せてくる。妊娠披露パーティーで会った友人たちは注意するが、サパスタインは一時的なものだと断言する。友人で老いた小説家ハッチがやって来て、おかしいと言うが、翌日ハッチは倒れる。

そして、ある日ハッチが亡くなる。彼はローズマリーに悪魔崇拝に関する書籍を遺してくれた。そこにはカスタベットの父親が悪魔を現世に呼び出す霊媒師だったと書かれてある。彼女はガイに不安を打ち明けるが、相手にしない。サパスタインによれば、ローマン・カスタベットは余命あと三ヶ月であり、残りの人生を楽しむため旅行に出かけるという。

いよいよ臨月が近づいたある日、書店で「悪魔術」と言う本を見つけて買ってしまう。そこには呪いを掛けたい相手の身に付けているものを盗めと書いてある。ハッチもローズマリーを訪ねた際に手袋をなくしていた。もしやと思い、失明した俳優に電話を掛けると直前にネクタイをガイに与えたと言われる。ガイは悪魔教徒で現世の出世のため、ライバルを売ったのだ。

おそらくサパスタインも悪魔教徒だろう。もはや彼らの元で出産できない。知り合いの産婦人科を頼るが、名医と評判であったサパスタインに連絡されてしまい、その上陣痛が起きて気を失う。気が付いたときには、出産は済んでいた。悪魔教徒の監視役に尋ねると、死産だったと言う。しかしどこからか赤ん坊の泣き声がする。探すと、カスタベットやガイらみんなに囲まれて赤子がいた。顔を見ると目がない!恐ろしい悪魔の子であった。しかしカスタベットにこの子には母親が必要と言われると、ローズマリーの顔はすっかり母親のものに変わって、息子を愛おしく抱きしめていた。

 

 

Impression:

見せない恐怖を描いた名作である。夢のシーンでチラリと悪魔が現れるが、それだけである。

しかしホラー映画「エクソシスト」以後、こういう心理映画は少なくなり、この「ローズマリーの赤ちゃん」もテレビで見ることはなくなった。

いつもは精悍な男か知性派を演ずることが多いジョン・カサベテスが、珍しく出世欲でギラギラしたゲスな俳優を演じている。

ローズマリー役のミア・ファーローはこの映画で以後のか細いイメージを固めた感じがする。

お節介な振りをしてみんなを悪魔教に勧誘してしまうミニー・カスタベット役のルース・ゴードンがやはり名演である。

監督はポーランド系ユダヤ人のロマン・ポランスキーだ。敬虔なユダヤ教徒でないユダヤ人は、キリスト教徒から迫害されたせいか、キリスト教から排除される吸血鬼や悪魔の世界に強い関心を持つようだ。シャロン・テート事件はドリス・デイの息子に対する殺人が目的だったと言われているが、本当はどうだったのだろう。

 

 

Staff/Cast:

監督 ロマン・ポランスキー
製作 ウイリアム・キャッスル
原作 アイラ・レヴィン
脚色 ロマン・ポランスキー
撮影 ウィリアム・A・フレイカー
音楽 クシシュトフ・コメダ

 

 

出演
ミア・ファロー 
新妻ローズマリー
ジョン・カサヴェテス 俳優の夫ガイ
ルース・ゴードン 隣人ミニー   (この演技でアカデミー助演女優賞を獲得)
シドニー・ブラックマー 夫ローマン
モーリス・エヴァンス 友人ハッチ
ラルフ・ベラミー サパスタイン医師
パッシー・ケリー ローラ・ルイーズ
エライシャ・クック・ジュニア ニクラス
チャールズ・グローディン ヒル医師

ローズマリーの赤ちゃん (Rosemary’s Baby) 1968 パラマウント配給 — シャロン・テート事件の一年前に製作された怪奇映画

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