ハワード・ホークス監督の国際超大作。
エジプトのクフ王とピラミッド内部の設計技師の物語を、アメリカのノーベル賞作家ウィリアム・フォークナー、ハリー・カーニッツとハロルド・J・ブルームのチームがオリジナル脚本化している。
主要俳優は国際色豊かに英米希仏伊の5カ国から選抜し、主演はジャック・ホーキンスジョーン・コリンズの英国コンビである。
さらに音楽はディミトリ・チョムキンで自らタクトを振っている。
残念ながらワーナー・カラーだが、古いフィルムを使っているらしく発色は良くない。シネマスコープだが4:3画像だった。

 

 

Synopsis:

神官ハマールによって語られるクフ王の物語である。
当時は死後、神により第二の生が与えられるため、王族は宝物とともに埋葬されることを望んだ。
クフ王のエジプト古王国はクシャイト族を破り、財宝と人民全員を捕虜として凱旋する。捕虜にされたヴァシュタルは優れた建築技師であった。これから作るピラミッドにその先進的な技術を応用して盗掘を防いでくれるなら、王の死後クシャイト族の自由と故郷への帰還をクフは保証する。そこで棺の間を設置した後、内部通路を全て砂で埋めてしまうことを提案する。通路が残っているから盗掘されるのだ。
砂漠に初めてピラミッドを建てるため、なかなか順調には進まない。まだ建設途中で資金が尽きてくる。そこでクフは周辺諸国に課税する。ほとんどの国が受け入れたのに対して、キプロス王国だけはケチで王女ネリファーを献上する。クフははじめ怒るが、ネリファーの魅力を前にして第二王妃として娶る。
いよいよ外壁が出来上がり、内装そして棺の間を設置する。後は砂が通路を隠す仕掛けを作れば良いだけである。
ネリファーは第二王妃のままでいることが屈辱だった。そこでクフが遠征している間に愛人トレネと謀り、第一王妃ナイラを暗殺する。しかしクフが即座に帰還しネリファーに疑いの目を向けたため、トレネに王を討たせる。結局クフ王とトレネは同士討ちになり、真実を知るものは誰もいなくなったはずだった。
しかし神官ハマールはすべてを知っていた。ピラミッドの完成後、葬儀を終えたネリファーにクフ王の個人的宝物をお見せすると言ってピラミッドに閉じ込め、流れ込む砂の中にハマールとネリファーは永遠の眠りについた。

 

 

Impression:

ジョーン・コリンズと言えばどんな映画にも出てくる、目の離れた英国の大女優さんだが、この作品がアメリカ映画デビューだった。化粧にもよるのだが、若い頃はかなり美人に見えた。野望に燃えるキプロスのお姫様の役を演じている。しかし、この娘が作品全体の足を引っ張った感もある。
ジャック・ホーキンスクフ王役だが、登場シーンから目を疑った。あれ、どう見ても人形だろう?この映画のおかげで大がかりな史劇や戦争映画からオファーがジャンジャン掛かるようになった。
アレキシス・ミノティスはこの後ソフィア・ローレンの「島の娘」にも出てきたギリシャ人俳優である。神官=物語の語り部役で、美味しい場面に登場した。なかなか存在感のある役者さんだ。
シドニー・チャップリンは言わずと知れたチャールズ・チャップリンの息子。今回は王妃と王の暗殺を図る悪役。
個性的な俳優たちを気兼ねなく起用できたのも、これがハワード・ホークス監督の国際超大作だったから。
ピラミッドの建造シーンなどに、エキストラも1万人を使っているそうだ。
それらをディミトリ・チョムキンの壮大な映画音楽とオーケストレーションで盛り上げる。
ノーベル賞作家ウィリアム・フォークナーを原案に起用したのも国際的作品だからということだろう。フォークナーはホークスの友人であり、有名になる前からいくつも脚本に参加していた。この作品の場合、脚本はハリー・カーニッツ任せで、酒びたりになっていただけだと言われている。
エジプトの歴史映画としては当時史上最高作だったはずだ。ところが結果は大赤字だった。原因は国際色豊かに作ったこと。外国人俳優の知名度も低かったのだ。さらに当時アメリカ人にとって内省的な映画が流行ったのだろう。翌年3月のアカデミー賞作品賞、主演男優賞、脚色賞を監督デルバート・マン、主演アーネスト・ボーグナインの映画「マーティ」が独占した地味な年だった。「マーティ」はテレビドラマとして人気が集め、その劇場版がさらに大ヒットした。
8年後に監督ジョゼフ・マンキーヴィッツ、主演エリザベス・テイラーの超大作「クレオパトラ」が上映されると、あちらがエジプト映画の代表作になってしまった。
しかしもう少し、この「ピラミッド」にも陽が当たると良いな。映像と音楽を完全にマッチさせれば、「ベンハー」とまで行かなくとも、もう少し立派な作品だったと判るはずなのだ。復刻ライブラリ頼りでは、寂しい映像しか見られなくなる。

 

 

 

Staff / Cast

監督 ハワード・ホークス 
製作 ハワード・ホークス
脚色 ウィリアム・フォークナーハリー・カーニッツ 、 ハロルド・ジャック・ブルーム
撮影 リー・ガームス 、 ラッセル・ハーラン
特殊効果 ドナルド・スチュワート
作曲 ディミトリ・ティオムキン

 

 

 

出演(俳優の国籍)
ジャック・ホーキンス クフ王(英)
ジョーン・コリンズ 第二王妃ネリファー(英)
デューイ・マーティン ヴァシュタルの子センタ(米)
アレックス・ミノティス 神官ヘイマール(希)
ケリマ 第一王妃ナイラ(仏)
ジェームズ・R・ジャスティス 建築技師ヴァシュタル(英)
シドニー・チャップリン 隊長トレネ(米)
ルイセラ・ボニ センタの妻キーラ(伊)

 

ピラミッド (Land of the Pharaohs) 1955 ワーナー・ブラザーズ(アメリカ) ハワード・ホークス監督がエジプト・ロケを行った国際超大作

投稿ナビゲーション