ルイス・ブニュエルが友人サルバドール・ダリと喫茶店でだべっていて、先日見た夢の話になった。
ブニュエルは「カミソリで切り裂くように雲が横切って満月が半月になる夢を見たよ」と言う。
するとダリも「俺も手のひらにアリンコが群がる夢を見た」と答えた。
そこでブニュエルが「それなら二人で見た夢を組み合わせて映画にしないか」と言い出した。ダリもその話に乗って、10日間のスタジオとロケで撮影、編集したのが映画「アンダルシアの犬」である。

 

脚本は確かにあるが、これも時系列を過去へ巻き戻ったり未来へ早送りしたり見る人間を困惑させる。
印象に残ったのは、若い女の目をカミソリで切るシーンだ。子牛の目を使ったらしいが、至る所で使われているので有名だ。
また若い男が幼児のような姿をして自転車で若い女の家の前に現れると、突然こけて目を回している。ここから始まるシーケンスがメインだと思うが、部屋に入れられて寝かされている男が急に襲って来たり、壁を紐で引きずったらついでに神父二人とピアノにロバの死体を乗せていたり、とうとう女の乳房を触りだしたら急に女が裸になったりする。
最後は春になって男女が砂浜に埋められ射殺されたシーンで「FIN」だ。

 

 

 

シュールレアリズムが夢の世界を描いていると主張する人には、この映画はシュールレアリズムなのかもしれない。
でもそれはブニュエルとダリの夢であって、かなり個性的なものだ。
普通の人は、断片的な夢やエロティックな夢を見ても、ここまでカッ飛んでない。
おそらくこれは酒で酩酊しているか麻薬でラリっているときの夢ではないか。
筆者も手術後、麻酔が切れないまま見た夢は、フランス映画かイタリア映画のようで明るいカラー画面で夜の雑貨屋の様子だったり、ユダヤ人を匿っていた貴族がドイツ兵に収容所送りになる話が断片的に繰り返された。
おそらく過去に実際に見た店や映画が頭の中で混ぜこぜになったものと思われる。

 

 

一種の夢落ちだったわけだが、ルイス・ブニュエルとサルバトール・ダリにかかったら、たった15分の映像でも世界史に残るものに仕上げてしまう。

 

 

 

監督 ルイス・ブニュエル
脚本 ルイス・ブニュエル、サルバドール・ダリ
製作 ルイス・ブニュエル

撮影 アルベール・デュベルジャン
編集 ルイス・ブニュエル

 

出演者

ピエール・バチェフ
シモーヌ・マルイユ

アンダルシアの犬 (Un Chinen Andalou) 1928 フランスで製作されたシュールレアリズムなサイレント映画

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